Page 3 of 6

腸を健康に保つ「血液」

血液の汚れ「ドロドロ」は病気の原因に

「サラサラな血液が健康には欠かせない」というのは誰もが知っている情報です。こんなに血液の汚れに関心が高まったのは、ここ数年であると記憶しています。

漢方医学の世界では何千年も昔から、「血液の汚れがすべての病気の原点である」と考えられ、血液の流れが悪い状態をおけつ「於血」という概念でとらえています。
於血とは、簡単にいえば血液ドロドロのこと。汚れの正体は、主に尿酸や乳酸などの老廃物、コレステロールや中性脂肪などの余剰物です。

現代人は、血液の汚れが特に顕著だといわれます。その原因は、ストレスや運動不足、冷えなどさまざまですが、やはり一番の問題は食生活です。
実は、血液サラサラとドロドロの分かれ目には、腸内環境が大きくかかわっているのです。腸で吸収された栄養素は、血液に乗って体の末端まで行き渡り、全身の細胞に取り込まれます。そのとき、善玉菌が活発に働いて、腸内をきれいに保っていれば問題ないのですが、腸内細菌のバランスが悪く、悪玉菌のほうが優勢になっていると腸内腐敗が起こり、毒素が発生します。そして、腸や肝臓で解毒しきれなかった毒素や有害物質も、栄養素と一緒に血液に溶け込んでしまいます。

心臓から押し出された血液が、体内を一周して戻ってくるまでの所要時間は、たったの一分もかかりません。瞬く間に、腸内の汚れは全身に広がってしまうのです。きれいな腸はきれいな血液の基本。ですから、サラサラな血液を取り戻す第一歩は、腸の健康をチェックすることから始まります。

新陳代謝

血液の汚れは、血行を悪くします。つまり、血液の流れがとどこおると、栄養素だけでなく酸素も十分に行き渡らなくなります。さらに血液には、細胞に必要な物質を送り届けると同時に、不要になった老廃物を運び去り、それらを処理する腎臓や肺など適当な器官に受け渡すという重大な仕事があります。
こうした作業が滞った状態では、個々の細胞が元気にイキイキ活動することができません。私たちの体は、約60兆個にも及ぶ小さな細胞の集合体です。
では、細胞は何からできているのでしょうか。細胞の原料は、血液中の栄養分と酸素です。60兆個の細胞からできている人体ですが、その始まりは、卵子と精子が結合した、たった一つの細胞です。その細胞が、何度も何度も分裂を繰り返し、体をつくつたのです。細胞分裂は、母親の血液中にあった栄養分と酸素が胎盤を通して胎児に供給されるからできるのです。胎児が生まれ、へその緒をとると、自分の力で腸から栄養を吸収し、泣き声をあげると肺から酸素を取り入れ始めるのです。生命の始まりのときから、細胞は絶えず新陳代謝を繰り返しています。たとえば小腸の細胞は3 日、肌の細胞は28 日、赤血球は、120日で生まれ変わります。体全体で1 日に約1兆個の細胞が生まれ変わっているのです。
古い細胞が死に、新しい細胞に生まれ変わるというように、常に入れ替わりながら60兆個の細胞が正常にはたらくことで、体の若さや健康が保たれているわけです。裏返せば、個々の細胞が本来の機能を発揮できずに元気を失ったり、細胞の代謝が途絶えると、私たちの体からみずみずしさが奪われ、体内の精巧なメカニズムが狂うことを意味します。それは、老化の促進やさまざまな病気の発症に直結する事態だといっていいでしょう。
血液は、赤血球・白血球・血小板の3種類の血球と、液体成分である血祭からできています。体の60兆個の細胞は、この血液を頼りに生きています。赤血球は酸素を運び、白血球は細胞を傷める毒やウイルスを退治し、血小板は細胞に血液を運ぶ血管の補修をし、血漿は栄養分を与えます。血液に十分な栄養分や酸素がないと、細胞は正常な活動ができなくなります。また、毒やウイルスがあると、細胞はダメージを受けますし、血液が3分以上届かないと細胞は死んでしまいます。血液の質が、体の一つひとつの細胞の状態や寿命を左右するといえるでしょう。また、血液は細胞の再生(新陳代謝)にも大きな影響を与えます。細胞は、再生するときに血渠中の成分と元の細胞にあった物質を原料とします。血液に十分な栄養がなかったり、元の細胞の老廃物や毒性成分がそのままだったりすると、元気な細胞へと再生できません。ですから、全身の細胞をイキイキとさせ、細胞の再生をスムーズにさせるためには、血液の質を高めることが不可欠なのです。血液の質のキーポイントは、まさに「腸」にあります。よい食品を食べてよい腸内細菌バランスを保つことが、よい血液をつくり出すのです。

腸内細菌って?

120兆個もの微生物

人間の腸の中には、膨大な数の細菌が共存しています。その数は100~120兆個、種類にして100~300種にも及びます。それらは、すべてがごつちゃに入り混じっているわけではありません。仲間同士で群生する野草のように、棲み分けをしています。同種ごとに、叢(草むらの意味) のように寄り集まって腸内に定着していることから、その群れは「腸内細菌叢」または「腸内細菌フローラ」と呼ばれます。
細菌ですから「空気のように軽いだろう」とイメージしがちですが、重量は1~1.5kgにもなります。
ですから、人間の体重のうち1kg強は腸内細菌の重さということになります。腸内細菌のはたらきは多岐にわたり、それは腸内だけにとどまりません。具体的には、次にあげるものになります。

  1. 免疫力・自然治癒力を高める
  2. 5000種類以上の体内酵素をつくり出す
  3. 外界から侵入した細菌や毒素を腸内で排除する
  4. 化学物質や発ガン性物質を分解する
  5. 消化・吸収・代謝システムに携わる
  6. ビタミンをつくり出す
  7. 抗生物質による副作用を抑える

体内酵素を自分で生成する腸内細菌は自分で育てる

なかでも、あらゆる生命活動の根源ともいえる体内酵素をつくることは、腸内細菌の重大な働きです。というのも、体内酵素の欠乏や消耗は、老化や病気に直結するからです。
体全体で、合わせて何種類ほどの酵素が存在するのかはっきりわかっていませんが、5000種類以上の酵素があるとされています。
また、老化と腸内フローラには、強い相関関係があります。特に、腸内細菌の一つであるビフィズス菌の比率は、加齢とともに減少していきます。
ですから、長寿を目指すのでーのれば、よい腸相をつくるだけでは不十分。同時によい腸内細菌を育てていくことが同時に必要になります。
腸内細菌の環境は、人間自身がつくり上げるものなのです。
腸内フローラを構成する種類や数は人それぞれです。Aさんがもっている腸内細菌が、Bさんの腸内にもいるとは限りません。しかし、スタートは誰もが同じ条件だったはず。出産直後の新生児の腸内は、ほぼ無菌状態だからです。
この世に生を受けた瞬間から、細菌との共存がはじまるのです。
一日もたてば、赤ちゃんの便の中には、すでに多くの細菌が含まれているといいます。つまり、その人がそれまでどのような環境でどのように育ち、どのような食生活を送ってきたかによって、腸内フローラの全体像は変わってくるのです。いったん定まった腸内細菌のバランスは、病気のときなどを除けば大きく変わることはないといわれますが、ある程度の幅では日々変化しています。

今現在、腸内細菌のバランスが悪く、本来の腸内細菌の役割が体内で発揮されていないとしても、生活習慣や食習慣を見直すことで、数日から数か月で腸内環境を整えていくことは十分可能です。

腸内細菌は、その性質や機能によって、善玉菌、悪玉菌、日和見菌という3つのグループに分けられます。善玉菌は有用菌ともいわれます。強い抗酸化酵素を含み、体を健康に保ってくれる、文字通り体に有益な菌です。乳酸菌やビフィズス菌などが、善玉菌の代表格です。
反対に、悪玉菌は有害菌であり、ウェルシュ菌などがそれです。悪玉菌に含まれる強い酸化酵素は、未消化の肉類や乳製品などのたんばく質を腐敗させて毒素を発生させ、免疫力の低下や老化を促進させます。善玉菌が増えると腸の調子がよくなるほか、免疫力が向上し、病気にかかりにくくなるなど、多くのメリットがあります。
逆に悪玉菌が優位な状態では、腸の調子が悪くなって悪臭ガスが発生し、肌や髪からツヤが失われるばかりか、生活習慣病のきっかけになることも少なくありません。
「悪玉菌=悪」というイメージが強くなりますが、悪玉菌も決して不要なわけではありません。健康な人の腸内にも、悪玉菌は棲んでいます。悪玉菌には外敵菌から腸を守るという大切な役目があり、人間の体に不可欠なものなのです。悪玉菌は、そもそも弱い病原性しかもたないので、健康なときには免疫で抑えていられるのですが、加齢により免疫力低下やストレスによるダメージが引き金となって、病原性を発揮するのです。
一方、有用とも有害ともつかないのが日和見菌、いわゆる大腸菌です。中間菌ともいわれ、中立的な立場なのですが、「日和見」という名前からもわかるように、有用菌が優位に立っていれば有用菌をサポートし、有害菌が優位に立っていれば自分も悪さをするなど、形勢次第でどちらにも転びます。
そして、実はこの日和見菌が、腸内細菌全体の大多数を占めています。腸内細菌のバランスは、日和見菌の動静に大きく左右されるといえるのです。したがって、よい腸内環境をつくるには、日和見菌を悪玉菌に転化させないよう努力しなければなりません。その決め手となるのは、生活習慣や食事の摂り方、良質な水、薬物の影響、ストレスなどさまざまです。善玉菌をたくさん、悪玉菌を少なめにして、高い免疫力を保つことが理想なのです。

善玉菌が元気なイキイキ腸であれば、消化物は結腸のぜん動運動(便を送り出す腸の動き)で促されながら、少しずつ直腸に向かいます。
次に、小腸から送り出された直後は液状だった消化物も、結腸を進むにつれて、半流動体→かゆ状→医半かゆ状になり、最後に固形の便になります。
直腸に便が到達すると、自律神経がはたらき、便意を感じる仕組みです。

生命活動において重要な役割を果たしている「腸」

腸の機能

腸の働き、仕事といえば、「排便」と単純に考えがちですが、実は腸には、それ以外にも体を健康に保つために不可欠なさまざまな大切な機能があります。。
その一つが「消化作用」です。食べたものは、噛んで飲み込んだらおしまいではありません。胃と腸は、炭水化物をブドウ糖に、たんばく質をアミノ酸に、脂肪を脂肪酸へと小さく分解します。その分解した栄養分を吸収するのも、腸なのです。たとえば、植物は地中に根っこを張って、土から栄養分を吸収します。人間の体を植物にたとえると、根っこに相当するのが「腸」というわです。人間が生きていくうえで必要な栄養素のほとんどは、小腸で吸収されます。もし、腸のはたらきが正常に行われなければ、いくら体によいものを食べても、栄養素を体に十分に取り込むことができません。

また、腸が汚れていれば、その汚れも一緒に体内に吸収されて全身を巡り、血液やほかの器官まで汚染してしまいます。つまり、腸内環境のコンディションは、全身の健康状態に大きくか影響するのです。
腸には、消化・吸収・排泄以外にも、次のような重要な役割があります。

免疫作用

腸は、「最大の免疫器官」とか「内なる外」とよくいわれます。それは、腸がじか体の内側にありながら、外界と直に接しているからです。体内に侵入してくる細菌や有害物質が直接入ってくる場所であり、腸はそれらの異物をしっかりとブロックして体を守る役割を果たさなければなりません。そのため、腸には多くの免疫細胞が集中し、免疫防御機能を果たしているのです。この腸管免疫の活性化にひと役買っているのが、腸内細菌です。ですから、腸のトラブルは、自然治癒力や免疫力の低下のもとになるのです。放っておくと、老化や生活習慣病の原因にもなりかねません。腸をキレイに保つことが、健康維持のためにとても大切なことなのです。排便だけを担っているわけではないのです。

解毒作用

体内で解毒の役割を果たす臓器といえば、「肝臓」ですが、腸内細菌にも解毒作用があることがわかってきました。体の入口で、有害物質をある程度ブロックするので、結果的に肝臓での解毒の負担軽減、解毒能力の向上にもつながります。つまり、腸のはたらきが悪くなって解毒能力が低下すると、肝臓に大きな負担がかかってしまうのです。
さらに、肝臓の障害は、連鎖的に心臓や呼吸器系にも悪影響を及ぼします。
では、そのような重要な機能が腸にばかり集中しているのは、なぜでしょうか?
腸は発生学的には、最も原始的な器官です。
生命の進化の歴史をたどると、いそぎんちゃくやひどでなどの腔腸動物に突き当たります。彼らは、口と肛門も分かれておらず、入口から体内に入った食べ物を消化して入り口から排泄するという、腸を主体とした単純な構造の生き物です。
腸はその後、さまざまな臓器に進化しました。栄養分を蓄える細胞が腸から分離して「肝臓」となり、血中の糖分を調整するすいホルモンを分泌する細胞が分離して「膵臓」をつくり、食物を一時貯蔵する場として腸の前部「胃」ができました。また、酸素を吸収する細胞が「肺」になり、腸の入り口、つまり口にある神経細胞の集合が「脳」に進化したといわれています。ですから腸は、ほかのあらゆる臓器の源、生みの親だといえます。腸が体の多くの器官や神経と密接にかかわっているのは、そのような進化の経緯によるものといえます。

腸のトラブルや病気は、独自の判断能力を狂わせてしまいます。そうなれば当然、ほかの体内システムにも影響してきます。腸は、この賢い機能のために「第二の脳」と呼ばれています。
そもそも、脳と腸には密接な関係があります。その特殊性が注目され、研究が進むにつれ、脳内の神経伝達物質であるセロトニンが腸にも存在していることがわかってきました。というより、全体の9割以上が腸内に集中していたというのです。腸内では神経伝達物質としてはたらくほか、消化活動にも携わっており、たとえば満腹中枢を刺激して食欲を抑制するのも、セロトニンの機能の一つだといわれています。
そして、このような腸の免疫機能を促進させるはたらきをもつ陰の立役者が、120兆を超える腸内細菌です。勝と腸内細菌とは結束して、私たちの健康を保つためにはたらき続けているのです。

ストレスの影響を受けやすい人間の体

ストレスとリラックスのバランス

体の各器官は、全身をくまなく張り巡ってそれらをつなげて統合する、自律神経システムの絶妙なコントロールの下にバランスを保っています。といっても私たちは、それをまったく無意識でいます。私たちの生命活動を維持するために、たくさんの体内システムが機能していますが、なかでも代表的なのが

  1. 代謝エネルギーのシステム
  2. 自律神経系のシステム
  3. 白血球のシステム

です。
さらに、これらのシステム同士の緊密な連携関係をコントロールし、その采配役となつているのが自律神経です。自律神経は、私たちの体内活動のうち、意思とは無関係です。意識しなくても汗をかいたり、呼吸したり、食べ物を消化したりできるのは、自律神経のはたらきによるものです。しかし、意思とは独立しているにもかかわらず、極めデリケートで、ストレスや外的要因に敏感に反応します。
自律神経は、交感神経と副交感神経という、相反する二つの体制から成り、両者が同時にはたらいてバランスを取りあうことで、体内システムが正常に稼動しているのです。

交感神経が優位に立つのは、興奮状態や緊張にさらされているとき、攻撃的なときです。一般に人が社会活動を行っている時は、交感神経が優位になっています。
そんなとき、体の中では心臓や肺が活発にはたらくのに対し、胃腸の活動は控えめになっています。その状態を、野生動物が全神経を集中して獲物に飛びかかる様子になぞらえて、「エサとり神経」と呼んでいます。それとは対照的に、副交感神経は「リラックス神経」といわれます。副交感神経が優位に立つのは、文字通り体も心もリラックスして全身の力をゆるめた状態のときです。入眠前などは、副交感神経が優位になっています。
呼吸や心拍、血圧が穏やかになり、女性であればTT宮の緊張がやわらぎ、その分、胃腸のはたらきが活発になったりホルモンの分泌が盛んになつたりといった変化が起こります。
つまり、状況に応じて一方が優位には機能したり、相方の暴走にブレーキをかけたりと、二つの神経は綱引きしあうような関係にあるわけですが、ときに間合いを間違え、いずれか一方に大きく傾くことがあります。
そうなると体内システムは、とたんにバランスが崩れ、体に変調をきたします。なぜなら自律神経は、外界から侵入した異物から体を守っている白血球をも支配しているからです。白血球は血中の免疫細胞であり、免疫機能の中心的な存在といえます。
したがって、自律神経と白血球の連携が、体の免疫力を大きく左右するのです。

ストレスをため込んでもリラックスしすぎてもタメ!

白血球の大半を占めるのが、顆粒球とリンパ球です。平均的な構成比率は、顆粒球が60% 、リンパ球が35% 程度ですが、外部からのストレスに敏感に反応して、比率は変動しています。この顆粒球とリンパ球のバランスをつかさどるのが、交感神経と副交感神経のシステムなのです。私たちの体が外部から強いストレスを受けると、交感神経が緊張して顆粒球の割合が増えます。
交感神経が優位に立つと心拍数や血圧が上昇し、その一方で消化吸収活動などは抑制傾向になり、このとき全体的には興奮気味な状態といえます。そもそも白血球は、体内に侵入した異物退治のために自分の仲間を増やして戦うのですが、自律神経のアンバランスがもとで白血球が通常のバランスを崩してしまうと、顆粒球やリンパ球が間違った行動を起こしてしまいます。
ですから、顆粒球が増えるのは、腸にとっては望ましいことではありません。そこまでいかなくても、悩み事や不安を心に抱えているとき、胃がキリキリと痛むことは誰にでもあることでしょう。それは、増大した顆粒球から発生する活性酸素が、胃や腸の粘膜をチクチクと攻撃しているからです。そんなとき、いつまでもクヨクヨしていると、ますます顆粒球が増えて状況は悪くなりますから、逆転の発想で、リンパ球が増えるように気持ちを切り替えればいいのです。「病は気から」と昔の人が行ったのもまんざらでもないのです。

リンパ球の割合が増えるのは、体の力を抜いてリラックスし、副交感神経が活発になったときです。運動性の神経を抑えて消化器官や循環器官が活発にはたらき、免疫力が高くなります。全体的にはクールダウンした状態といえるでしょう。ところが、リラックスした心地よい状態ばかりが続くと、今度はリンパ球が多くなりすぎ、アレルギー物質などの抗原に対して敏感に反応し始めてしまいます。
ここ数年、子どものアレルギーが大きな社会問題になっていますが、その原因の一つがお菓子やジュースの摂りすぎにあります。甘いものを摂りすぎると、消化を促進するために副交感神経が常に優位になり、リンパ球が増えすぎた結果、アレルギーを引き起こすとも考えられています。
つまり、腸の健康をいつも正常に保ち、かつ痛気を防ぐためには、ストレスを極力ため込まずに副交感神経を優位にして、リンパ球や有用菌が多めな状態を維持するのがコツということになります。

病気と無縁になるためには

アメリカも食生活を改善している

腸相のよし悪しを左右する決め手となるのは、日々の食事・水・排泄です。特に、食生活の影響はかなりのウェイトを占めます。腸相は全身の健康状態のバロメーターともいえ、誤った食生活や生活習慣を即、反映します。悪い食生活の見本といって、まず槍玉に上がるのはアメリカ人のそれでしょう。ジャンクフード、日本の3倍はありそうなジャンボサイズの食べ物、肉中心の高カロリー食… などなど。まだ、あげればキリがないほどです。
しかし、実はそれは過去の話です。確かにアメリカ人は、高たんばくで高脂肪の食事を好み、その結果、度を越えた肥満や生活習慣痛が蔓延しました。1970年代頃になると、めざましい進歩を続ける医療技術を駆使し、巨額な医療費をつぎ込んでも、ガンや生活習慣わずら病を患う人たちが増え続けていきました。もはや国家レベルで取り組むほかないという状況の中で専門の委員会が設置されました。

そして、膨大な時間と費用をかけた調査の末、同委員会の委員長によって発表されたのが、1977年の「マクガパン・レポート」です。その趣旨は、「心臓病やガンなど、増え続ける深刻な病気の主な原因は間違った食生活であり、これを改めることが急務である」というものでした。
間違った食生活とは、

  1. 動物性脂肪や砂糖・塩の摂取過多
  2. ビタミン・ミネラルや食物繊維不足

の2点です。この報告が発端となり、1980年代以降、アメリカ人の食生活は、動物性たんばく質は主に肉より魚介類から摂る、脂肪の摂取量を減らす、末精製穀物や野菜、果物、豆類などを積極的に摂る、というスタイルに急変してきました。その結果、アメリカではガンによる死亡率が1993年から2 2002年にかけて、平均年率1.1% 減少しています。

戦後60年で変化した日本人の食生活

そのような食生活は、何も格別新しいものではありません。つい60年ほど前には、日本人が当たり前のようにやっていたことなのです。今では、伝統色などと言われることもありますが、特別なものではありませんでした。
しかし、高度成長期を経て生活が経済的に豊かになるにつれ、日本の各家庭の食卓に肉・牛乳・乳製品などの動物性食品が多く並ぶようになると、徐々に日本人の腸相がアメリカ人のそれに似てきたのです。

動物性食品を大量に摂取し続けると、腸は次第に短く固く変化し、腸内には憩室(腸壁が押し出されるようにしてできるポケット状のくぽみ) やポリープができます。動物性たんばく質が腸内で腐敗し、有毒なガスを発生するばかりでなく、問題の宿便となって停滞します。ですから、日本人がステーキやハンバーガーといったアメリカ人の食生活の真似をして、同じようにガンや生活習慣病を増加させている間に、当のアメリカ人はかつての日本人の食生活をお手本に、健康を取り戻すため食生活の改善に努力していたことになります。
また、アメリカの食事というと肉ばかりの印象があるかもしれませんが、最近のデータでは、アメリカ人の野菜の摂取量は日本人を上回っているのです。
日本人は野菜を食べなくなり、数十年前と比べても、食物繊維やミネラル分の摂取量が大幅に減少しています。そのうえ、昔と比べて日本の野菜から、ミネラルやビタミンの含有量が年々減少していることが指摘されています。これは主に土壌の問題なのですが、過去40年間の農業と化学肥料の使用により、土地自体のもつミネラル分やビタミン、酵素が不足してきているのです。欧米の野菜、果物や水には、日本国内のものより、含有量は3倍以上あると考えられます。つまり日本では、約50年前の人と同じだけの量の野菜を摂取しても、半分以下くらいのミネラルやビタミンしか摂取できないという事態になっているのです。

玄米・野菜、海草類をたっぷりと

では、どのような食生活をすればいいのでしょうか。お手本にするのは、玄米などの穀物菜食、つまり、昔の日本人の食卓風景です。バランス的に、現代人の食事は、動物性たんばく質や脂肪の割合が多すぎており、これを変えていかないことには、人間の体が本来もっている免疫力や恒常性を養い、維持することはできません。
必要な栄養を効率よく摂るためには、末精製の穀物を摂るのが効果的です。白米や自パン、白砂糖などのいわゆる精白食品は、精製時に肝心な栄養素- ビタミン、ミネラル、酵素などの大半が失われるからです。その点、玄米や黒川ハン、全粒粉の穀物、いわゆる副穀などの未精製の穀物からは、私たちの体に必要な栄養素の多くをほぼそのまま摂り入れることができます。
とりわけ玄米は、それらのほとんどを含有する優れた完全食品といってもいいでしょ、
野菜や豆類もたっぷり摂るのはもちろんのことですが、特に旬の野菜を多く摂るように心がけます
ただし、1~2種類だけの野菜を山盛りという食べ方ではいけません。なるべく、多くの種類を食べるようにします。海藻類は絶対に欠かせません。ミネラルや食物繊維、たんばく質がたっぷり含まれ、野菜で足りない分を補ってくれるほか、独特のぬめり成分であるフコイダンには、血圧上昇抑制、腫瘍抑制、抗ウイルス作用などがあるといわれています。また、豊富な食物繊維は便通をよくし、毒素の排出にも効果的です。ワカメ、ヒジキ、コンプ、メカブ、寒天など、一日≡ 食のうち二回は摂りたいところです。動物性食品は全体の10~15 % でいいのですが、それもできるだけ魚介類を食べるようにしましょう。特にまるごと食べられる小魚、小エビ等はぜひ毎日摂るのが望ましいといえます。
EPA・DHAなどの魚介類の不飽和脂肪酸は大切な脂肪酸で、血液をサラサラにしたり、コレステロール値を下げる等の効果もあります。
反対に肉、卵、牛乳、乳製品などに含まれる飽和脂肪酸はコレステロール値を上げ、血をドロドロにする原因になりますから、ごく少量に、頻度も少なくするよう心がけましょう。そして何より重要なのは、こうした正しい食習慣を継続することです。