腸の基本機能「消化」「吸収」「排泄」

腸の健康を考える場合、まず腸の機能を知っておくことは最低限必要です。人間の腸は、口から肛門まで続く長い管状の消化器の一部です。長さは、7~9 mで、広げるとテニスコート1面分もの表面積になります。

腸は、「小腸」と「大腸」に大きく分かれます。胃から続くのが小腸、その小腸から続くのが大腸です。小腸は、さらに胃から近い順に、十二指腸、空腸、回腸に区分されます。それに続く大腸は、肛門に向かって、盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸と続きます。

人体での腸の主な役割は「消化」「吸収」「排泄」の3つです。これらが、どのようなルートで行われるかというと、まず口から摂った食べ物は、唾液とともに噛み砕かれ、食道を通って、胃に入ります。胃では胃液によって消化されてかゆ状になり、それが十二指腸に送られます。そこで胆汁や膵臓の消化液などによって、さらに消化され、分解。1食分の食べ物が胃と十二指腸を通過するのにかかる時間は二四時間です。そこから空腸、断腸に運ばれて、さらなる消化と栄養素の吸収が行われます。そこで残ったかすは、どろどろの液体状です。

それが小腸(水分の約90% は小腸で再吸収)と最終的に結腸で水分を吸収され、固形の便になるのです。一般的に18時間以上かけて、結腸を通過します。そして直腸に押し出される時点では、完全に便になっており、さらに便が直腸に移行すると便意が起こり、肛門から排泄されるのです。

さらに腸には、他にも知られざる働きがあります。デトックス(排毒)療法の第一人者でおある大森隆史医師によれば、水銀などの有毒金属や有害化物質、老廃物を合わせた毒素のうち、75%が便として排出されるといいます。

ちなみに残り20% が尿、汗3 % 、さらに1%が毛髪と爪だということです。腸というのは、人体のデトックス機能も担っているということなのです。

この場合の毒素とは、体外から侵入する食品添加物や残留農薬、汚染物質など。そして腸内でこれらの毒素が集まり、ときに相互作用を起こしながら有毒物質や有毒ガス、活性酸素などを溜め込んでいくのです。腸がきちんと機能していなければ、栄養素の消化・吸収がうまくいかないだけではなく、体内に毒素が溜まり、老廃物の排泄も滞ります。そして腸の健康からは遠くなり、免疫力や美容にも大きく影響していくのです。

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宿便は存在しない

便秘で悩む人や、ダイエット中の人などは、よく腸内に溜まった宿便を出したい! という声を聞きますが、残念ながら宿便は存在しません。

また、消化器専門の医師に聞いても大腸の内視鏡検査でもそのような宿便の存在は確認できないと口を揃えます。

さらにいえば、医学的には宿便と便秘は同義語です。腸の動きが低下していると、排便をしてもスッキリせずに不快感が生じることがあります。
しかしそれは宿便が腸のヒダに張りついているのではなく、通常の便が排泄されきれずに残っているだけなのです。

しかし最近では、宿便と健康食品ビジネスが結びついているようで、宿便を出す酵素ジュースや野菜ジュース、お茶、サプリメントなどが多く発売されています。もともと宿便などないので、効果のはどは疑問ですが、このようなものを摂ることで、逆に腸内環境が悪化するケースもありますので注意してください。

さらに宿便をスッキリさせたい、ということで下剤を使う人がいるようですが、それは本末転倒です。逆に腸の状態が停滞してしまいます。人間の身体は思った以上によく出来ています。

腸は蠕動運動で常に老廃物を振り落としています。ですから便が腸内に残り続けて宿便になることはありません。また便が残っているような不快感があっても特別な対処をする必要はありません。流行の手法として自宅でコーヒー浣腸を行い、下剤依存に近いコーヒー浣腸依存になる方もいます。毎日コーヒー浣腸をするという異常な状態に陥ることもあるのです。

クリニックでも高圧浣腸を使用するケースがあります。高圧浣腸とは、チューブを使って肛門からぬるま湯を入れ、水圧を利用して排便を促す方法です。しかし処置に手間がかかるわりに便秘治療に決定的な効果があるわけではないので、一般的な対症療法として高圧浣腸を行っているクリニックは少数です。

しかし高圧浣腸は、一時的に貯留してしまった便を排泄させるには効果的です。自宅で行うコーヒー浣腸もそうですが、クリニックの高圧浣腸、さらに美容系クリニックで行っているコロン・クレンジング(腸内洗浄)も、習慣化すると、この浣腸なしでは排便できない状態に陥ります。

これは腸が自分で排便する力や健康になろうとする力を奪ってしまうんですね。この本の読者のみなさんには、宿便などという言葉にだまされず、もっと正しい腸のケア方法を知り、腸寿の道を歩んでいって欲しいと思っています。

まずは、腸ストレス改善する食生活からはじめましょう。

毎日排便があっても腸が絶好調とは限らない

便秘に悩む人は2人に1人の時代ですから便が出ればそれでいい、と思っている方がとても増えています。大切なことなので何度でもいいますが、便は出せばいいというわけではありません。

その出し方、また便の状態も大切なのです。便の状態を詳しく見ていくと、いろいろな身体の状態がわかります。特に生活習慣は便の状態にかなりはっきりと反映されています。

水分不足の方の場合は、うさぎの糞のように硬くコロコロとした便が出ます。このようなケースは、ガスが溜まってお腹が苦しいと思います。さらに水分を摂っているつもりでも水分が十分に腸まで届いていないということも考えられます。

肉を食べ過ぎたときには、肉のタンパク質が分解されるときに腸内のガスのにおいが強くなる傾向があります。よって便が臭く、おならが多く出ます。さらに食物繊維不足の場合、便の量が少なく、長さも勢いもなくヒョロヒョロした状態で残便感があります。

そして経験のある方も多いと思いますが、お酒を飲みすぎたときの便は、腸の働きが過敏になっているため下痢の状態です。またふわふわして形がはっきりしない泥状になっています。

ダイエットしている方の場合は、便が出そうで出ません。そしてすべりが悪く、時間をかけて出したわりには、量が少ないのが特徴です。また運動不足の方の場合、腸の動きが低下しているため、食事のたびにお腹がポッコリと出ます。
そして便意は感じるものの、なかなか出ません。また出ると大量で臭いがきついのが特徴です。

全体的に腸の働きが低下気味の方は、小さい塊がつながっていたり、ソーセージ状の便が出ます。また短時間の間に何回にも分けて出ることが多いようです。これは、腸の停滞によってS状結腸に便が分割して溜まっているのが原因です。

この場合は、食事をする前に、すでに胸やけがしたり、便意を感じにくいというケースもあります。毎日排便がある方でも、自分の便の状態をしっかりチェックしてください。そこで生活習慣や食事の反省や修正、改善をすることで、より腸を健康な状態に戻すことができます。それがすなわち腸のためののライフスタイルともいえるのです。

毎日の便にも注意を払う

便はリアルタイムで腸の健康状態を語る存在です。ではいい便とは、どんな便なのでしょうか?まず形ですが、やや固めのバナナ状、やや軟らかめの練り歯磨き状が理想です。色は黄色、または黄褐色。においはきつくなく、出た後にすっきりとする。

排便回数は、1日1~3回、または2~3日に1~3回です。排便時の状態も強くいきまなくてもすんなり出るのがよい状態です。

便の中身を詳しく知る

さきほど紹介したのは、理想の便ですが、表面にひび割れがあるソーセージ状や、表面はなめらかで軟らかいソーセージ状、あるいはへどのような形状、さらに軟らかくて割れたような小さな塊状であっても健康な状態といえます。

また排便が容易な便は、おしなべて健康の証であるといってよいでしょう。
またわかりやすいのは便の色です。便の色は病気の発見につながることも多いので、排便の状態、便の形状以上にチェックしていただきたいと思います。またすべてが病気に繋がるとはは限りません。しかし少しでも気になったら、専門医のいる病院を受診しましょう。

まず血が混じった便ですが、痔が疑われます。ざらに直腸や結腸にポリープや潰瘍がある場合に血便になることがあります。
血便が連日続く場合は、潰瘍性大腸炎やクローン病の疑いもあります。黒い便の場合は、食道、胃、十二指腸、小腸などに潰瘍があり、その潰瘍から出血していると黒い色の便が出ることがあります。また病気ではなく、肉食が多くて便の成分に消化液の胆汁が多くなっても黒くなります。

血便というより、便全体に赤みがある場合は肛門や大腸から出血しているケースがあります。また、潰瘍性大腸炎や大腸がんの可能性もあります。

さらに、膵臓の病気、胆石症などがあると、バリウムを飲んだときのような白っぽい便が出ることがあります。これらの色に当てはまったからといって、即病気、というわけではありません。通常と違ぅ色の便が出た場合は、注意して数日間はチェックしましょう。
数日でもとに戻ればよいのですが、2〜3週間たっても戻らない場合は、専門のクリニックの受診を検討していただきたいと思います。

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抗生物質の乱用で腸内環境が悪化自己治癒力が低下

乱れた腸を改善しないと慢性疲労は治らない、体を動かせないほどの疲労

体を動かせないほどの疲労が、6ヶ月以上の長期間続き、日常生活に支障をきたす病気を「慢性疲労症候群」と呼びます。この病気で困っている患者さんは、現在、全国で100万人いるといわれています。

このつらい症状に悩まされ、いくつかの病院で治療してもよくならなかったという人がたくさん来られます。私は、この慢性疲労症候群は、自己治癒力の低下によって起こると考えています。

そして、自己治癒力の低下を招く根本には、腸内環境の乱れが影響しています。そのメカニズムを簡単に説明しましょう。なんらかの原因によって腸内環境が乱れると、腸内の善玉菌減少し、カンジグ菌や酵母菌が増殖します。これらの菌からは菌糸といわれる糸状の触手が伸び、腸粘膜を傷つけます。

すると、腸の粘膜にすきまができて、通常では吸収されない(通れない)大きな物質が、血も液中に漏れ出てしまうのです。これを、「リーキーガット症候群」といいます。のリーキーガット症候群では、食物に含まれる毒素が体内に入ってきて炎症を起こします。

これが、慢性疲労症候群に伴うさまざまな症状の原因となるのです。重金属などが腸内を通過して血液中から細胞内に入ると、「ミトコンドリア」という細胞内器官の機能が低下します。

さらに、カンジタ菌や酵母菌は、有機酸という物質を体内に放出します。それも、細胞内のミトコンドリアの機能を低下させる原因となります。

ミトコンドリアは、全身の細胞の中にあって、エネルギーを産出する働きを持っています。つまり、エンジンのような役割です。その機能が障害されると、細胞がきちんと働けなくなります。

その結果、さまざまな慢性疲労の病態が現れてくるのです。ですから、根本原因である腸を改善しなければ、慢性疲労症候群は治りません。ほかの病院で治療してもよくならないのは、それだけ腸の治療をしている医師が少ないということでしょう。リーキーガット症候群は、「遅発型食物アレルギー」も引き起こします。

遅発型食物アレルギーとは、食物をとってすぐにアレルギー症状が現れる、一般的な食物アレルギー(即時型食物アレルギー)と異なり、食物を摂取したあと、数時間から数日後にアレルギー反応が現れるものです。遅発型食物アレルギーの検査を行って、特定の食物にアレルギー反応が出ると、多くの医師はその食物を食べないように指導します。

しかし、これも原因は腸の異常(リーキーガット症候群)にあるので、食物を除去することが解決にはなりません。ただ、遅発型食物アレルギーの検査は、腸の状態を知る指標として役立ちます。

アレルギーの状態がひどければ、それだけ腸の状態が悪いということです。逆にいえば、腸の状態がよくなれば、アレルギー反応が出た食物も除去する必要がなくなるのです。

いくつかの症例です。Aさん(20代・女性) は、全身倦怠感があって小学生のときから朝起きられず、10年間学校に通えませんでした。

遅発型食物アレルギー検査をすると、ほとんどの食材に強いアレルギー反応がみられました。治療を行ったところ、半年たったころから、Aさんの全身倦怠感の症状が改善したのです。9ヶ月後に再度行った検査では、食物アレルギーの反応も随分へっていました。

一方で、即時型食物アレルギーの場合は、食物にはじゅうぶん注意しなければなりません。とはいえ、即時型食物アレルギーにおいても、腸内環境を整えることはとても重要です。

食品添加物のとりすぎにも注意しよう!

では、腸内環境を悪くする原因は何でしょうか。1つには、抗生物質の使いすぎがあります。全身に炎症があり、あちらこちらの病院で2ヶ月にわたって抗生物質を投与されていた1歳の女の子が来院したことがあります。

食事もできなくなり、46kgあった体重は36kgに激減していました。抗生物質の長期服用で腸内環境が乱れ、病態が悪化していたことは明らかです。

抗生物質は、肺炎や慢性副鼻腔炎などを起こしているときは、確かに必要です。しかし、長期服用すると、腸内細菌がかなりダメージを受一けます。

その結果、自己治癒力が著しく低下するのです。抗生物質を長期問飲んでも効かないのは、自己治癒力が低下しているからです。抗生物質で病原菌を殺すだけでなく、自己治癒力を高めるサポートをしなければ、腸内環境が悪くなり、病態は悪化する一方です。

また、食品添加物のとりすぎも腸内環境に大きく影響しています。食品を選ぶときは、食品添加物の少ない食品、安心して食べられる食品を、意識して選ぶようにすることが大切です。

ただし、その意識も過剰になる必要はありません。それが、かえってストレスになってもよくないからです。腸内環境が整えば、少しぐらいなら、よくないものを口にしても体が解毒してくれるはずです。まずは、腸の健康づくりに取り組んでください。

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