腸の機能

腸の働き、仕事といえば、「排便」と単純に考えがちですが、実は腸には、それ以外にも体を健康に保つために不可欠なさまざまな大切な機能があります。。
その一つが「消化作用」です。食べたものは、噛んで飲み込んだらおしまいではありません。胃と腸は、炭水化物をブドウ糖に、たんばく質をアミノ酸に、脂肪を脂肪酸へと小さく分解します。その分解した栄養分を吸収するのも、腸なのです。たとえば、植物は地中に根っこを張って、土から栄養分を吸収します。人間の体を植物にたとえると、根っこに相当するのが「腸」というわです。人間が生きていくうえで必要な栄養素のほとんどは、小腸で吸収されます。もし、腸のはたらきが正常に行われなければ、いくら体によいものを食べても、栄養素を体に十分に取り込むことができません。

また、腸が汚れていれば、その汚れも一緒に体内に吸収されて全身を巡り、血液やほかの器官まで汚染してしまいます。つまり、腸内環境のコンディションは、全身の健康状態に大きくか影響するのです。
腸には、消化・吸収・排泄以外にも、次のような重要な役割があります。

免疫作用

腸は、「最大の免疫器官」とか「内なる外」とよくいわれます。それは、腸がじか体の内側にありながら、外界と直に接しているからです。体内に侵入してくる細菌や有害物質が直接入ってくる場所であり、腸はそれらの異物をしっかりとブロックして体を守る役割を果たさなければなりません。そのため、腸には多くの免疫細胞が集中し、免疫防御機能を果たしているのです。この腸管免疫の活性化にひと役買っているのが、腸内細菌です。ですから、腸のトラブルは、自然治癒力や免疫力の低下のもとになるのです。放っておくと、老化や生活習慣病の原因にもなりかねません。腸をキレイに保つことが、健康維持のためにとても大切なことなのです。排便だけを担っているわけではないのです。

解毒作用

体内で解毒の役割を果たす臓器といえば、「肝臓」ですが、腸内細菌にも解毒作用があることがわかってきました。体の入口で、有害物質をある程度ブロックするので、結果的に肝臓での解毒の負担軽減、解毒能力の向上にもつながります。つまり、腸のはたらきが悪くなって解毒能力が低下すると、肝臓に大きな負担がかかってしまうのです。
さらに、肝臓の障害は、連鎖的に心臓や呼吸器系にも悪影響を及ぼします。
では、そのような重要な機能が腸にばかり集中しているのは、なぜでしょうか?
腸は発生学的には、最も原始的な器官です。
生命の進化の歴史をたどると、いそぎんちゃくやひどでなどの腔腸動物に突き当たります。彼らは、口と肛門も分かれておらず、入口から体内に入った食べ物を消化して入り口から排泄するという、腸を主体とした単純な構造の生き物です。
腸はその後、さまざまな臓器に進化しました。栄養分を蓄える細胞が腸から分離して「肝臓」となり、血中の糖分を調整するすいホルモンを分泌する細胞が分離して「膵臓」をつくり、食物を一時貯蔵する場として腸の前部「胃」ができました。また、酸素を吸収する細胞が「肺」になり、腸の入り口、つまり口にある神経細胞の集合が「脳」に進化したといわれています。ですから腸は、ほかのあらゆる臓器の源、生みの親だといえます。腸が体の多くの器官や神経と密接にかかわっているのは、そのような進化の経緯によるものといえます。

腸のトラブルや病気は、独自の判断能力を狂わせてしまいます。そうなれば当然、ほかの体内システムにも影響してきます。腸は、この賢い機能のために「第二の脳」と呼ばれています。
そもそも、脳と腸には密接な関係があります。その特殊性が注目され、研究が進むにつれ、脳内の神経伝達物質であるセロトニンが腸にも存在していることがわかってきました。というより、全体の9割以上が腸内に集中していたというのです。腸内では神経伝達物質としてはたらくほか、消化活動にも携わっており、たとえば満腹中枢を刺激して食欲を抑制するのも、セロトニンの機能の一つだといわれています。
そして、このような腸の免疫機能を促進させるはたらきをもつ陰の立役者が、120兆を超える腸内細菌です。勝と腸内細菌とは結束して、私たちの健康を保つためにはたらき続けているのです。