ストレスとリラックスのバランス

体の各器官は、全身をくまなく張り巡ってそれらをつなげて統合する、自律神経システムの絶妙なコントロールの下にバランスを保っています。といっても私たちは、それをまったく無意識でいます。私たちの生命活動を維持するために、たくさんの体内システムが機能していますが、なかでも代表的なのが

  1. 代謝エネルギーのシステム
  2. 自律神経系のシステム
  3. 白血球のシステム

です。
さらに、これらのシステム同士の緊密な連携関係をコントロールし、その采配役となつているのが自律神経です。自律神経は、私たちの体内活動のうち、意思とは無関係です。意識しなくても汗をかいたり、呼吸したり、食べ物を消化したりできるのは、自律神経のはたらきによるものです。しかし、意思とは独立しているにもかかわらず、極めデリケートで、ストレスや外的要因に敏感に反応します。
自律神経は、交感神経と副交感神経という、相反する二つの体制から成り、両者が同時にはたらいてバランスを取りあうことで、体内システムが正常に稼動しているのです。

交感神経が優位に立つのは、興奮状態や緊張にさらされているとき、攻撃的なときです。一般に人が社会活動を行っている時は、交感神経が優位になっています。
そんなとき、体の中では心臓や肺が活発にはたらくのに対し、胃腸の活動は控えめになっています。その状態を、野生動物が全神経を集中して獲物に飛びかかる様子になぞらえて、「エサとり神経」と呼んでいます。それとは対照的に、副交感神経は「リラックス神経」といわれます。副交感神経が優位に立つのは、文字通り体も心もリラックスして全身の力をゆるめた状態のときです。入眠前などは、副交感神経が優位になっています。
呼吸や心拍、血圧が穏やかになり、女性であればTT宮の緊張がやわらぎ、その分、胃腸のはたらきが活発になったりホルモンの分泌が盛んになつたりといった変化が起こります。
つまり、状況に応じて一方が優位には機能したり、相方の暴走にブレーキをかけたりと、二つの神経は綱引きしあうような関係にあるわけですが、ときに間合いを間違え、いずれか一方に大きく傾くことがあります。
そうなると体内システムは、とたんにバランスが崩れ、体に変調をきたします。なぜなら自律神経は、外界から侵入した異物から体を守っている白血球をも支配しているからです。白血球は血中の免疫細胞であり、免疫機能の中心的な存在といえます。
したがって、自律神経と白血球の連携が、体の免疫力を大きく左右するのです。

ストレスをため込んでもリラックスしすぎてもタメ!

白血球の大半を占めるのが、顆粒球とリンパ球です。平均的な構成比率は、顆粒球が60% 、リンパ球が35% 程度ですが、外部からのストレスに敏感に反応して、比率は変動しています。この顆粒球とリンパ球のバランスをつかさどるのが、交感神経と副交感神経のシステムなのです。私たちの体が外部から強いストレスを受けると、交感神経が緊張して顆粒球の割合が増えます。
交感神経が優位に立つと心拍数や血圧が上昇し、その一方で消化吸収活動などは抑制傾向になり、このとき全体的には興奮気味な状態といえます。そもそも白血球は、体内に侵入した異物退治のために自分の仲間を増やして戦うのですが、自律神経のアンバランスがもとで白血球が通常のバランスを崩してしまうと、顆粒球やリンパ球が間違った行動を起こしてしまいます。
ですから、顆粒球が増えるのは、腸にとっては望ましいことではありません。そこまでいかなくても、悩み事や不安を心に抱えているとき、胃がキリキリと痛むことは誰にでもあることでしょう。それは、増大した顆粒球から発生する活性酸素が、胃や腸の粘膜をチクチクと攻撃しているからです。そんなとき、いつまでもクヨクヨしていると、ますます顆粒球が増えて状況は悪くなりますから、逆転の発想で、リンパ球が増えるように気持ちを切り替えればいいのです。「病は気から」と昔の人が行ったのもまんざらでもないのです。

リンパ球の割合が増えるのは、体の力を抜いてリラックスし、副交感神経が活発になったときです。運動性の神経を抑えて消化器官や循環器官が活発にはたらき、免疫力が高くなります。全体的にはクールダウンした状態といえるでしょう。ところが、リラックスした心地よい状態ばかりが続くと、今度はリンパ球が多くなりすぎ、アレルギー物質などの抗原に対して敏感に反応し始めてしまいます。
ここ数年、子どものアレルギーが大きな社会問題になっていますが、その原因の一つがお菓子やジュースの摂りすぎにあります。甘いものを摂りすぎると、消化を促進するために副交感神経が常に優位になり、リンパ球が増えすぎた結果、アレルギーを引き起こすとも考えられています。
つまり、腸の健康をいつも正常に保ち、かつ痛気を防ぐためには、ストレスを極力ため込まずに副交感神経を優位にして、リンパ球や有用菌が多めな状態を維持するのがコツということになります。