アメリカも食生活を改善している

腸相のよし悪しを左右する決め手となるのは、日々の食事・水・排泄です。特に、食生活の影響はかなりのウェイトを占めます。腸相は全身の健康状態のバロメーターともいえ、誤った食生活や生活習慣を即、反映します。悪い食生活の見本といって、まず槍玉に上がるのはアメリカ人のそれでしょう。ジャンクフード、日本の3倍はありそうなジャンボサイズの食べ物、肉中心の高カロリー食… などなど。まだ、あげればキリがないほどです。
しかし、実はそれは過去の話です。確かにアメリカ人は、高たんばくで高脂肪の食事を好み、その結果、度を越えた肥満や生活習慣痛が蔓延しました。1970年代頃になると、めざましい進歩を続ける医療技術を駆使し、巨額な医療費をつぎ込んでも、ガンや生活習慣わずら病を患う人たちが増え続けていきました。もはや国家レベルで取り組むほかないという状況の中で専門の委員会が設置されました。

そして、膨大な時間と費用をかけた調査の末、同委員会の委員長によって発表されたのが、1977年の「マクガパン・レポート」です。その趣旨は、「心臓病やガンなど、増え続ける深刻な病気の主な原因は間違った食生活であり、これを改めることが急務である」というものでした。
間違った食生活とは、

  1. 動物性脂肪や砂糖・塩の摂取過多
  2. ビタミン・ミネラルや食物繊維不足

の2点です。この報告が発端となり、1980年代以降、アメリカ人の食生活は、動物性たんばく質は主に肉より魚介類から摂る、脂肪の摂取量を減らす、末精製穀物や野菜、果物、豆類などを積極的に摂る、というスタイルに急変してきました。その結果、アメリカではガンによる死亡率が1993年から2 2002年にかけて、平均年率1.1% 減少しています。

戦後60年で変化した日本人の食生活

そのような食生活は、何も格別新しいものではありません。つい60年ほど前には、日本人が当たり前のようにやっていたことなのです。今では、伝統色などと言われることもありますが、特別なものではありませんでした。
しかし、高度成長期を経て生活が経済的に豊かになるにつれ、日本の各家庭の食卓に肉・牛乳・乳製品などの動物性食品が多く並ぶようになると、徐々に日本人の腸相がアメリカ人のそれに似てきたのです。

動物性食品を大量に摂取し続けると、腸は次第に短く固く変化し、腸内には憩室(腸壁が押し出されるようにしてできるポケット状のくぽみ) やポリープができます。動物性たんばく質が腸内で腐敗し、有毒なガスを発生するばかりでなく、問題の宿便となって停滞します。ですから、日本人がステーキやハンバーガーといったアメリカ人の食生活の真似をして、同じようにガンや生活習慣病を増加させている間に、当のアメリカ人はかつての日本人の食生活をお手本に、健康を取り戻すため食生活の改善に努力していたことになります。
また、アメリカの食事というと肉ばかりの印象があるかもしれませんが、最近のデータでは、アメリカ人の野菜の摂取量は日本人を上回っているのです。
日本人は野菜を食べなくなり、数十年前と比べても、食物繊維やミネラル分の摂取量が大幅に減少しています。そのうえ、昔と比べて日本の野菜から、ミネラルやビタミンの含有量が年々減少していることが指摘されています。これは主に土壌の問題なのですが、過去40年間の農業と化学肥料の使用により、土地自体のもつミネラル分やビタミン、酵素が不足してきているのです。欧米の野菜、果物や水には、日本国内のものより、含有量は3倍以上あると考えられます。つまり日本では、約50年前の人と同じだけの量の野菜を摂取しても、半分以下くらいのミネラルやビタミンしか摂取できないという事態になっているのです。

玄米・野菜、海草類をたっぷりと

では、どのような食生活をすればいいのでしょうか。お手本にするのは、玄米などの穀物菜食、つまり、昔の日本人の食卓風景です。バランス的に、現代人の食事は、動物性たんばく質や脂肪の割合が多すぎており、これを変えていかないことには、人間の体が本来もっている免疫力や恒常性を養い、維持することはできません。
必要な栄養を効率よく摂るためには、末精製の穀物を摂るのが効果的です。白米や自パン、白砂糖などのいわゆる精白食品は、精製時に肝心な栄養素- ビタミン、ミネラル、酵素などの大半が失われるからです。その点、玄米や黒川ハン、全粒粉の穀物、いわゆる副穀などの未精製の穀物からは、私たちの体に必要な栄養素の多くをほぼそのまま摂り入れることができます。
とりわけ玄米は、それらのほとんどを含有する優れた完全食品といってもいいでしょ、
野菜や豆類もたっぷり摂るのはもちろんのことですが、特に旬の野菜を多く摂るように心がけます
ただし、1~2種類だけの野菜を山盛りという食べ方ではいけません。なるべく、多くの種類を食べるようにします。海藻類は絶対に欠かせません。ミネラルや食物繊維、たんばく質がたっぷり含まれ、野菜で足りない分を補ってくれるほか、独特のぬめり成分であるフコイダンには、血圧上昇抑制、腫瘍抑制、抗ウイルス作用などがあるといわれています。また、豊富な食物繊維は便通をよくし、毒素の排出にも効果的です。ワカメ、ヒジキ、コンプ、メカブ、寒天など、一日≡ 食のうち二回は摂りたいところです。動物性食品は全体の10~15 % でいいのですが、それもできるだけ魚介類を食べるようにしましょう。特にまるごと食べられる小魚、小エビ等はぜひ毎日摂るのが望ましいといえます。
EPA・DHAなどの魚介類の不飽和脂肪酸は大切な脂肪酸で、血液をサラサラにしたり、コレステロール値を下げる等の効果もあります。
反対に肉、卵、牛乳、乳製品などに含まれる飽和脂肪酸はコレステロール値を上げ、血をドロドロにする原因になりますから、ごく少量に、頻度も少なくするよう心がけましょう。そして何より重要なのは、こうした正しい食習慣を継続することです。