腸には特有の免疫システムがある

人間の体にに害を及ぼす異物には、多種多様なものがあり、そこには細菌やウイルス、寄生虫といった病原体をはじめ、移植された臓器や血液、体内で発生したガン細胞も含まれます。
免疫系は、体に有用な栄養素や腸内細菌と異物となる有害な物質とを瞬時に見分け、異物のみを排除する超高等なシステムになています。
そのシステムを動かすためのセンサーが敏感になりすぎて、花粉・カビ・ダニ・チリなど、日常にありふれた物質に過剰に反応するのがアレルギー症状です。
そうした異物がもっとも侵入しやすいのが、実は腸なのです。そのため腸管には、特有の免疫システムが備わっており、免疫系のなかでも要というべきリンパ球の約60% が、腸管に存在しています。腸は「人体最大の免疫器官」と言ってもいいでしょう。

昨年、小学校で毎日R1ヨーグルトを食べたところ、風邪やインフルエンザにかかる児童が急激に減少したことで話題になりましたが、これは、ヨーグルトによる乳酸菌が腸内環境を改善したことが免疫力を高めた証明になりました。

腸は、臓器としてもっとも古い歴史があります。原始的な腔腸動物のヒドラには、口と腸だけの生物です。そこから始まって、進化の過程でほかの臓器も生まれたのです。
リンパ球には、骨髄でつくられるB細胞や胸腺でつくられるT細胞などの種類がありますが、骨髄も胸腺も、生物が上陸してから誕生した臓器です。つまり、免疫系もすべて腸から始まっていて、腸はリンパ球の発生母体でもあるわけです。ですから腸管免疫は、進化の初期段階で成立した「古い免疫」であるといえます。それに対して胸腺や牌臓の免疫システムは、進化の過程で必要が生じたり、新種のウイルスに対応するために発達した「新しい免疫」といえるでしょう。そして免疫力の本質は、古い免疫のほうにあります。
というのも、病気の発生や治癒といった根源的な部分での生体防御は古い免疫が役目を果たしているのです。
それに、新しい免疫は、私たちの体を生涯を通じては守ってくれません。若いときには胸腺由来丁細胞が大量につくり出され、活発にはたらきますが、20歳前にそのピークを迎えたあとは減少する一方です。反対に、腸などでつくられる胸腺外分化丁細胞は、息が長いのが特徴です。うまくできたもので、腸のリンパ球に閲しては、加齢で弱まることがありません。そして、胸腺の機能が極端に低下する中年以降になると、それまで陰に隠れていた腸管免疫が中心となってはたらき始めるのです。

腸は免疫のバランスをを担う臓器

専門的になりますが、腸管免疫系のなかでも、特に重要な役割を担うのがバイエル板という免疫細胞の集合体です。免疫システムの最前線であるマクロファージや、T細胞、B細胞、NK(ナチュラルキラー)細胞といった各種のリンパ球がここに集まっています。バイエル板を覆う腸管上皮には、通常の上皮とは異なる、絨毛の発達していない陥没した箇所があり、それは、その形からM細胞と呼ばれています。
M細胞の重大な仕事は、腸管内の抗原を積極的に取り込んでは、下に控えるT細胞に知らせること。するとT細胞がその情報を携えて全身をめぐり、B細胞に抗体を産生するよう指示を出すなどして、侵入物質から体を防衛します。
T細胞は、血液やリンパ液の流れに乗って全身を駆け巡っていますが、そのままでは完全ではありません。というのも、免疫細胞は、必要に応じて当該地点に移動して初めて、その機能を発揮するものなのです。
ところがT細胞は、抗原の情報を獲得して活性化されない限り、リンパ系器官以外の組織に入り込むことができません。抗原と出合い、自在な行動力を得てパワーアップし、ようやくメッセンジャー役を完結できるという仕組みです。

つまり、全身の健康を維持するうえで、T細胞の行動力を高めておくことは有効であり、そのためには、バイエル板を活性させることが不可欠だということです。

乳酸菌はリンパ球も増加させる

腸内のバランスを整える働きをするのが、腸内細菌です。特に乳酸菌類にはThl細胞を誘導する作用があり、Thlを増やそうとはたらきかけます。その結果、Th2が制御され、アレルギー症状の媛和を促してくれるのです。乳酸菌を摂取することで種々のアレルギー症状が改善されます。

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