Category腸と病気の関係

腸内環境の重大さ

腸内環境を荒らすのは、「動物性食品」の過剰摂取

お肌の調子や体重の変化には日頃か細心の注意をしている人でも、自分の腸内環境まで意識している人はごくわずかです。確かに、体の不調は肌の状態に影響を与えますが、体の表面だけをいくらケアしても根本的な解決にはなりませんし、健康や長寿にはつながりません。

腸は、体に必要な栄養分を毛細血管を通じて全身に送り出すという、重要な役割を担っています。腸内に発生した毒素や有害物質は、血液に混じって体のあちこちに悪影響を及ぼします。
腸内環境の悪化は、腸内細菌のバランスが崩れることで起こります。腸内細菌は、私たちの体を正常に保つために、免疫力を高めたり酵素生成しています。
つまり、生命活動に不可欠な存在といっても過言ではありません。では、何が腸内細菌の悪化をを引き起こすのかというと、最も大きな要因は、動物性食品の過剰な摂取です。
こうした食生活が悪玉菌の増殖につながります。悪玉菌は、動物性たんばく質や脂肪が大好物です。腸内にはびこつた有害菌は、硫化水素、アンモニア、スカトール、インドールなどの毒素を産出します。
かいようクローン病や潰瘍性大腸炎といった粘膜の病気を発症している患者さんに、食習慣について尋ねると、ほとんどの人に牛乳、チーズ、ヨーグルトなどの乳製品の摂りすぎが確認されます。
また、近年日本でも顕著な大腸ガンの急増の原因が、欧米化した食生活であると指摘されています。動物食が多いと、どうしても脂肪を摂りすぎ、食物繊維が不足してしまいす。その過剰な脂肪を消化吸収するためには、多量の胆汁酸が必要になります。胆汁酸は肝臓で合成成されたあと( 一次胆汁酸)、腸内の細菌と作用すると二次胆汁酸に変化することがわかっています。前者は無害なのですが、後者には発ガン性物質が含まれると考えられています。

食物繊維には、腸内で発生する発ガン性物質を吸いとるはたらきや便通をよくして発ガン性物質が腸粘膜と接触する時間を短くする効果があります。食物繊維が不足すると便秘を起こし、腸内には宿便が生じます。「便秘なんて大したことない」と思うかもしれませんが、宿便は悪臭とともに毒素を発生させ、肝機能低下や免疫力低下を引き起こすばかりでなく、老化の原因の一つである活性酸素を多量に発生させますから、体に及ぼす悪影響大です。

私たちの肌や視力、歯茎などは、年齢を重ねるとともに老化していきます。腸もまた同じです。腸年齢の基準となるのは腸内細菌のバランスですが、年をとるにしたがってそのバランスが徐々に崩れ、悪玉菌が増加し始めます。腸の老化の始まりです。60歳になる頃には、善玉菌は極端に少なくなつてしまいます。腸の老化が進むと、肌のハリやツヤが失われたり、シワやシミが目立つようになるなど、見た目にも老けてきます。
また、疲れやすくなったり、たっぷり休息をとっても疲れがとれなかったり、体調を崩しやすくなります。ある程度、年齢を重ねた女性が美しくキレイでいる場合は、腸に負担をかけない生活を送っている証拠です。

が現代人には、まだ若いのにもかかわらず、常に悪玉菌が優位の状態が続いて、腸の老化が進んでいる人が多いのです。というのも、腸は非常にデリケートな器官で、生活習慣やストレスの影響をもろに受けるからです。そのため、現代のようなストレス社会では、実年齢よりも腸だけがうんと老けているということも珍しくありません。老化はまず腸から始まります。いつまでも若々しくいるためには、まず腸の中を≠右返らせる必要があります。

悪玉菌が増加すると、腸の老化が進行するのと同時に免疫力が低下するほか、腸内腐敗が進んで毒素が発生します。毒素の正体は主に、硫化水素、アンモニア、スカトール、インドール、アミン類などの悪臭を伴う有毒ガスです。それらは火山からの噴出ガスの成分に等しいといいますから、どれほど危険な毒素であるかがわかります。
これらが腸内にたまることで、活性酸素が誘発されます。活性酸素はそもそも、毒素を防御する目的でつくられるのですが、増えすぎると逆に細胞をサビつかせたり傷つけたりするのです。活性酸素が「もろ刃の剣」といわれるのもそのためです。もし、腸細胞の遺伝子が損傷すれば、細胞が変異を起こします。そしてひいては、ポリープやガン細胞へと発展していくと考えられています。恐ろしいのは、これが腸内にとどまらない点です。毒素が腸壁から出て全身に広がるところを想像してみてください。全身を巡る間に、あちこちに毒素をばらまいて活性酸′素を発生させ、細胞を傷めるということが繰り返されるのです。
最終的には、毒素は肝臓で解毒処理されますが、便秘が慢性化するなどして免疫力や肝機能が低下すれば、血液の汚染や血流の悪化、新陳代謝の低下と、あわせて悪くなっていきます。正しい食事と排泄を習慣づけることが、腸内環境をよくするだけでなく、腸の老化や病気の発症を抑えるための基本です。

腸を健康に保つ「血液」

血液の汚れ「ドロドロ」は病気の原因に

「サラサラな血液が健康には欠かせない」というのは誰もが知っている情報です。こんなに血液の汚れに関心が高まったのは、ここ数年であると記憶しています。

漢方医学の世界では何千年も昔から、「血液の汚れがすべての病気の原点である」と考えられ、血液の流れが悪い状態をおけつ「於血」という概念でとらえています。
於血とは、簡単にいえば血液ドロドロのこと。汚れの正体は、主に尿酸や乳酸などの老廃物、コレステロールや中性脂肪などの余剰物です。

現代人は、血液の汚れが特に顕著だといわれます。その原因は、ストレスや運動不足、冷えなどさまざまですが、やはり一番の問題は食生活です。
実は、血液サラサラとドロドロの分かれ目には、腸内環境が大きくかかわっているのです。腸で吸収された栄養素は、血液に乗って体の末端まで行き渡り、全身の細胞に取り込まれます。そのとき、善玉菌が活発に働いて、腸内をきれいに保っていれば問題ないのですが、腸内細菌のバランスが悪く、悪玉菌のほうが優勢になっていると腸内腐敗が起こり、毒素が発生します。そして、腸や肝臓で解毒しきれなかった毒素や有害物質も、栄養素と一緒に血液に溶け込んでしまいます。

心臓から押し出された血液が、体内を一周して戻ってくるまでの所要時間は、たったの一分もかかりません。瞬く間に、腸内の汚れは全身に広がってしまうのです。きれいな腸はきれいな血液の基本。ですから、サラサラな血液を取り戻す第一歩は、腸の健康をチェックすることから始まります。

新陳代謝

血液の汚れは、血行を悪くします。つまり、血液の流れがとどこおると、栄養素だけでなく酸素も十分に行き渡らなくなります。さらに血液には、細胞に必要な物質を送り届けると同時に、不要になった老廃物を運び去り、それらを処理する腎臓や肺など適当な器官に受け渡すという重大な仕事があります。
こうした作業が滞った状態では、個々の細胞が元気にイキイキ活動することができません。私たちの体は、約60兆個にも及ぶ小さな細胞の集合体です。
では、細胞は何からできているのでしょうか。細胞の原料は、血液中の栄養分と酸素です。60兆個の細胞からできている人体ですが、その始まりは、卵子と精子が結合した、たった一つの細胞です。その細胞が、何度も何度も分裂を繰り返し、体をつくつたのです。細胞分裂は、母親の血液中にあった栄養分と酸素が胎盤を通して胎児に供給されるからできるのです。胎児が生まれ、へその緒をとると、自分の力で腸から栄養を吸収し、泣き声をあげると肺から酸素を取り入れ始めるのです。生命の始まりのときから、細胞は絶えず新陳代謝を繰り返しています。たとえば小腸の細胞は3 日、肌の細胞は28 日、赤血球は、120日で生まれ変わります。体全体で1 日に約1兆個の細胞が生まれ変わっているのです。
古い細胞が死に、新しい細胞に生まれ変わるというように、常に入れ替わりながら60兆個の細胞が正常にはたらくことで、体の若さや健康が保たれているわけです。裏返せば、個々の細胞が本来の機能を発揮できずに元気を失ったり、細胞の代謝が途絶えると、私たちの体からみずみずしさが奪われ、体内の精巧なメカニズムが狂うことを意味します。それは、老化の促進やさまざまな病気の発症に直結する事態だといっていいでしょう。
血液は、赤血球・白血球・血小板の3種類の血球と、液体成分である血祭からできています。体の60兆個の細胞は、この血液を頼りに生きています。赤血球は酸素を運び、白血球は細胞を傷める毒やウイルスを退治し、血小板は細胞に血液を運ぶ血管の補修をし、血漿は栄養分を与えます。血液に十分な栄養分や酸素がないと、細胞は正常な活動ができなくなります。また、毒やウイルスがあると、細胞はダメージを受けますし、血液が3分以上届かないと細胞は死んでしまいます。血液の質が、体の一つひとつの細胞の状態や寿命を左右するといえるでしょう。また、血液は細胞の再生(新陳代謝)にも大きな影響を与えます。細胞は、再生するときに血渠中の成分と元の細胞にあった物質を原料とします。血液に十分な栄養がなかったり、元の細胞の老廃物や毒性成分がそのままだったりすると、元気な細胞へと再生できません。ですから、全身の細胞をイキイキとさせ、細胞の再生をスムーズにさせるためには、血液の質を高めることが不可欠なのです。血液の質のキーポイントは、まさに「腸」にあります。よい食品を食べてよい腸内細菌バランスを保つことが、よい血液をつくり出すのです。

生活習慣病、アレルギーがどんどん増加する理由

よくないとわかっていてもやめられない悪い食習慣

忙しい現代人にとって、「規則正しく」とか「節度を守って」などは、耳の痛い言葉ではないでしょうか。どこかで「こんなんじゃダメ!」とか「よくない」と意識しているからです。
睡眠不足、深酒、不規則な食生活 … 。「体によくないのはわかっているけど仕方ない」というのが本音です。また、しっかりとした食習慣、生活習慣を見直すだけの時間と心の余裕がありません。
生活習慣は、人それぞれです。食生活とともに、家庭環境や社会環境のほか、遺伝的要因などが複雑に絡みあって、その人固有の体質ができあがっています。健康な体質とか病気になりやすい体質というのは、年齢とともに、主に食生活と生活習慣によって変化してきます。
食べる、働く、寝る… … そんな当たり前な日常の、ちょっとした悪い習慣が長い間に積み重なって、重大な疾患へと発展するのが生活習慣病です。なかでも、ガン、心臓痛、脳卒中は三大生活習慣病といわれ、日本人の死因のトップ3を占め、年間の死亡者の約6割がこれらの病気で亡くなっています。

病気を引き起こす生活習慣には、いくつかの原因が複合的に重なっている場合が多く、一つに断定することは難しいのですが、主として食習慣、ストレス、運動不足、飲酒、喫煙などが深くかかわっていることがわかっています。しかし、これらの要因はどれも自分自身でコントロールできることばかり。正しい知識をもとに生活習慣を変えられれば、病気を治したり病気の進行を遅らせることが十分に可能なのです。

肥満に注意

さらに、生活習慣病を引き握こす基本的な原因として注目されているのが、肥満です。というのも生活習慣病の患者は、糖尿病、高血圧症、高脂血症などのうち、複数の病気を併発しているケースが多いのですが、それらは独立したものではなく、互いに関係しあっているのです。一つひとつが軽症であっても、そこに肥満が重なるとたちまち深刻な事態になってしまうのです。

肥満といっても、特に問題となるのは「内臓脂肪型肥満」。内臓脂肪がたっぷりたまった体では、糖尿病、高血圧症、高脂血症の原因となりやすく、しかもそれらがまだ小さいうちに動脈硬化の芽も出てきます。動脈硬化が成長すると、心筋梗塞や脳梗塞という形で私たちの体を襲ってくるのです。
すべては「肥満」が原因のもと。そこで、内臓脂肪型肥満によって複数の生活習慣病が引き起こされた状態を一つの症候群ととらえ、それらをひつくるめてケアしていこうという考え方が生まれました。これが「メタポリックシンドローム(直訳すると代謝症候群)」です。肥満の尺度としてはBMI値が有名ですが、これは内臓脂肪の指標ではありません。WHO (世界保健機構) や、肥満大国アメリカのN CEP (米国コレステロール教育プログラム) などが、メタポリックシンドロームの診断基準を定めており、日本でもこれらを参考に2005年4月、日本人の体格・体質に適合した診断基準が発表されました。内臓脂肪蓄積はCTスキャン撮影で測定しますが、日頃から自分で体の変化をチェックできるように、腹囲の測定が採用されています。
年齢を重ねると、体重の変化がなくても体のつくりが変わり、いつしか内臓脂肪の割合が増えているものです。

生活習慣病だけでなく、同時に免疫力が落ちている

このように、大きな社会的問題になっているにもかかわらず、生活習慣病は増える一方です。個々のレベルではなく社会全体の現象としてみれば、日本が世界有数の長寿国となり、本格的な高齢化社会に突入していることも大きな原因といえるでしょう。日本では現在、約3500万人以上ものの人たちに、アトピー、ぜんそくなどのアレルギー疾患があります。アレルギーでは患者数の増加はもちろん、その症例も非常に多様化してきています。現代社会には、体のリズムを狂わせるまんえん要因が蔓延しています。間違った食生活の指導や農薬や食品添加物、ストレスフルな人間関係、医薬品、電磁波など、さまざまな有害なものが生活の中に複雑に浸透していて、すべてを避けて暮らすことは不可能です。

こうしたものの影響が、体内酵素を慢性的に消耗させ、現代人の体に異変を起こす要因となっています。私たちの体に本来備わっていたはずの免疫力や自然治癒力を、著しく低下させているのです。たとえば、ガン細胞は健康な人の体に常に発生しているといわれています。しかし、免疫力が正常にはたらいていればそれらは除去されるので、私たちは健康でいられるのです。ガン細胞が腫瘍となって体を脅かすまでに成長するのは、長期にわたって免疫力が低下しているために引き起こされるからと考えられます。
免疫力や自然治癒力が低下した状態では、体を正常に保とうとする免疫系自律神経系やホルモン系などの機能がバランスを失い、さまざまな症状となつて現れてくるのです。現在、病気が増えているのは、私たちの体内酵素と免疫力が異常に低下している証拠でもあるのです。

忙しい毎日の中でもう少しからだのこと、そして腸のことを見直す時間をつくりましょう。